スイス南部のレッチェンタール渓谷にある
ブラッテン村で、5月、
上流にある氷河が崩壊し、
土石流が人口300人の村をのみ込みました。
解けた氷河と土砂の総重量は
推定2000万トン。
村があった谷底には、
深さ最大数十メートル、
長さ2キロにわたって
氷や土砂が堆積し、
村の9割が消えました。
州当局の事前の監視による警告で、
村民は約1週間前に村外へ避難していたので、
犠牲者は1人だけでした。
氷河崩壊の一因として考えられるのが
地球温暖化です。
ブラッテン村のベルバルト村長の言葉です。
「自然は人よりも強いが、
人は自然と共生することはできる。
私たちはそうやって生きてきた。
人には自分の故郷、ルーツ、歴史、伝統
がある場所に住む権利がある。
その権利は誰にも奪えない」
福島で、震災・原発事故を経験した
住民の気持ちと共通するものを感じました。
COP30のイベントで、
「プラス3度近い気温では、
多くの地域で氷河がほぼ消滅する」
と研究者が訴えています。
氷河の融解に伴い、注視されているのが、
氷河湖の決壊です。
氷河湖とは、
氷河の浸食でできたくぼ地に、
水が溜まってできた湖です。
90年代以降、氷河湖の
数や面積の増加が確認され、
今後も増えると予想されています。
氷河湖決壊による世界規模のリスクについて、
「世界で1500万人が
氷河湖決壊による洪水の影響を受ける可能性がある」
という論文も出ています。
このうち930万人は、アジアの高山帯に住む人たちです。
氷河は小さくなっていき、
氷河湖は増加しています。
「日中共同声明」の原点を再確認
台湾有事の高市発言で、日中間が揺れていますが、
どうも、日中国交正常化交渉の原点が、
忘れられているように思います。
反高市にせよ、反中国にせよ、
原点を知らないで、
白黒をはっきりつけようとしている気がします。
白黒をはっきりつけない、
と言うのが
「日中共同声明」の原点です。
それによって、
周恩来と田中角栄は、合意し
国交正常化をすることができたのです。
白黒をはっきりつける
という考え方もあると思いますが、
それは、「日中共同声明」時の
スタンスとは異なります。
「日中共同声明」をやめて、
中国と国交断絶することは不可能です。
中国には多くの日本企業も進出しています。
10万人弱の日本人が中国に在留しています。
中国は日本の最大の貿易相手国です。
輸出入総額(2023年)
1位 中国 20%
2位 アメリカ 15%
食料品、原材料、工業製品の多くを
中国に依存しているのが現状です。
また、近年中国の軍事的な拡張、
海外進出が脅威を与えています。
これに対して、単に
軍事一辺倒で対抗するのでは、
緊張に油をそそぐだけです。
堅実な外交が必要で、
そのためには、
「日中共同声明」の基本を再確認しておきましょう。
11月25日の
毎日新聞朝刊の解説記事を抜粋して転載します。
<以下転載>
台湾問題は72年の
日中国交正常化交渉で
大きな争点になった。
交渉の末、
当時の田中角栄首相と中国の周恩来首相が
北京で日中共同声明に調印。
同声明は50年以上にわたって
両国関係の基礎となる文書の一つ
として重視されている。
その第3項には
こんな文章が盛り込まれた。
「中華人民共和国政府は、台湾が
中華人民共和国の領土の不可分の一部
であることを重ねて表明する。
日本国政府は、
この中華人民共和国政府の立場を
十分理解し、尊重し、
ポツダム宣言第八項
に基づく立場を堅持する」
当時、外務省条約課長として
田中首相らに随行していた
栗山尚一氏の回想によると、
台湾が自国に帰属するとの
主張を承認するよう求めていた
中国側に対し、
日本側は意味の弱い
「理解し、尊重」を提案。
渋る中国側に対して、
さらにポツダム宣言に関する部分を
加えることで決着した。
ポツダム宣言は
第二次世界大戦を戦った中国(当時は中華民国)
の蒋介石が米英首脳らと
日本の降伏条件を決めたもので、
その第8項は台湾が中華民国に
返還される方針を確認した。
<転載、以上>
ポツダム宣言第8項は、
「カイロ宣言の条項は、
履行せらるべく、
又日本国の主権は、
本州、北海道、九州及四国並に
吾等の決定する諸小島に局限せらるべし。」
と記載されているだけで、
「台湾が中華民国に返還される」
との記載はありませんでした。
ただ、第8項で言及されている
カイロ宣言には、
「満洲、台湾及び澎湖島のような
日本国が清国人から盗取したすべての地域を
中華民国に返還すること」
とありましたので、間接的に、
「台湾が中華民国に返還される」
と言ったことになります。
「日中共同声明」では、
台湾が中国の一部であるとの
中国の立場を、日本は
「十分理解し、尊重し」ますと言っています。
が、同時に、ポツダム宣言第8項に言及することで、
間接的に、「台湾が中華民国に帰属する」
との立場も堅持したのです。
要するに、両論併記で、
白黒をはっきりさせないことで
台湾問題に対処しているのです。
以上に見てきたことから、
「日本は、日中共同宣言で
ひとつの中国を認めたのだから、
中国が、台湾に武力侵攻しても
それは、中国の内政問題だ」
という言い方は、正しくありません。
日本政府は、台湾を中国の内政問題だ
とまでは、認めておりません。
また、「一つの中国」という中国の立場を、
日本政府は、「十分理解し、尊重」する
と言っているのですから、
中国が台湾を統合することに、
明白に反対するという立場も取れないわけです。
まして、
日本が、軍事的に介入するなど、
口が裂けても言えません。
日中共同声明の第二項は、
「日本国政府は、中華人民共和国政府が
中国の唯一の合法政府であることを承認する。」
となっています。
これにより、日本は台湾と断交し、
国レベルの交流はしていません。
これは、米国も同様です。
だから現職の国家機関の長が台湾を訪問する
ということはありません。
以前、民主党のペロシ下院議長が
台湾を訪問した際には、
中国は猛反発し、台湾周辺で軍事演習をしました。
これは、現職の下院議長だから、
まずかったのだと思います。
台湾の前主席・李登輝が来日した際にも、
中国は反発していましたが、
これはその程度で済んでいます。
現職と元職の違いです。
日本経済は低成長の時代(2)
人口減少に歯止めがかからない日本で、
高い経済成長率を達成するには、
海外から労働力を供給するしかありません。
でも、アメリカもヨーロッパも移民で
悩んでいます。
EUのような、自由経済圏を造って、
人・物・金の移動を自由にし、
国境の制限・規制を撤廃すると、
経済成長はもたらされますが、
さまざまな社会問題が起こっています。
経済成長と言っても、
自由経済圏全体としての成長です。
個々の構成員(国)の成長を保証するものではありません。
富める国はさらに富んで、格差は拡大します。
貧しい国から、人々は富める国へと移動します。
経済的自由主義は、必ずしも民主主義とはなりません。
過度な移民の増加は、
極右勢力の伸長をもたらしています。
EUの内部では、東側(旧共産圏)から
西側へと移民が動きます。
そして、移民が流入した国(イギリスやフランス
など)においても、
移民を排出した国(東側旧共産圏)においても
極右勢力が伸長しています。
ドイツの旧東独地域は、旧西独への移民排出国であると同時に、
EU域外からの移民の流入国です。
「ドイツのための選択肢」は、
この地域での伸長が目立っているようです。
社会が寛容さを失い、
多様な価値観の共存する、
包容力のある社会ではなくなっています。
分断され、自分たちとは異なる者を
攻撃、排除します。
自由・平等・博愛をスローガンに
フランス大革命を起こした
フランスでさえ、
イスラム教徒の女性が身につける
スカーフ(ヒジャブ)を
公共の場で身に着けることを禁じる
都市がいくつも出てきています。
信教の自由という原則が崩れてきています。
移民が少数の間は、許容できていても、
あまりに大きくなると、
脅威を感じるのです。
自分たちの文化が壊されると。
もともと、アメリカにしろ、ヨーロッパにしろ、
白人、キリスト教徒の国です。
彼らの言っていた自由・平等は、
非白人、異教徒には
及んでいなかったのでしょう。
さらには、自分たちの生活が苦しいのは
移民のせいだとまで言う言説が出ています。
ここまで言うと、
言いがかりのような気がします。
貧しいのは、移民のせいではなく、
新自由主義が格差を拡大させている
という面があると思います。
とにかく、移民の増加が、
アメリカ、ヨーロッパを悩ましています。
さて、日本に、
移民を増やして、経済成長を達成する
という覚悟はあるのでしょうか?
日本にいる在留外国人は、
2024年末時点で、過去最高の
377万人だそうです。
年々増えていますが、
総人口に占める割合は、
3%に留まっています。
この程度でも、外国人を排除し、
受け入れない言説が横行し、
「日本人ファースト」の参政党が
参議院選挙で躍進しました。
先の自民党総裁選挙でも
5人の候補者全員が、
「移民政策は取らない」ということでした。
欧米の例や、国内世論の状況から、
移民を増やして、経済成長を達成する
などというシナリオは描けません。
ただし、今の現実は直視しなければいけません。
製造業(大企業、中小企業を問わず)、農業は、
すでに外国人労働者なしでは、回りません。
つまり、今並みの経済成長率を維持するのにも、
外国人労働者を受け入れ続ける必要があるのです。
先述した、自民総裁選での
候補者5人による、
「移民政策は取らない」という発言は、
必要な労働力は受け入れるが、
移民としては受け入れない
という言い方です。
これは、
「出稼ぎはいいけど、定住はだめよ」
と言っていることになります。
これも非現実的です。
人間が、在留して、働き、生活していれば、
結婚したり、定住したりすることは
当然あることです。
「移民政策は取らない」ではなく、
「抑制された移民政策を取る」というのが
正しい表現です。
総裁候補者5人が、
「移民政策は取らない」と言っていたのは、
国民が安心するように、
或いは、有権者のご機嫌を取ろうと、
ごまかしているか、
自分たちが、現状が見えてなくて、
単にこうありたいと
願望を言っているに過ぎないか、
のどちらかです。
現状並みの、低成長を維持し、
そのために、「抑制された移民政策を取る」
というのが、
今の日本が取るべき
経済の基本政策でなければなりません。
高市自・維連立政権のいう「経済成長」は、
単に見果てぬ夢を見ているだけです。
また、「連立政権合意書」の
「外国人政策」には、「きびしく対応する」
ことしか書かれていません。
受け入れをスムーズにするための
施策(例えば日本語教育)などはありません。
現状の成長率を維持するためには、
そういう施策も必要なはずです。
日本で、豊かさが感じられないのは
低成長だから、
ではありません。
成長率2%以上のアメリカでも、
多くの人が生活苦を感じています。
成長率の問題ではなく、
分配の問題です。
日本は、身分不相応な経済成長を目指して、
大型の財政出動をするべきではありません。
これは、骨折り損のくたびれ儲け、
という結果になります。
いたずらに国の借金は増え、
国民は、ますます困窮するだけです。
いくら財政出動をしても、
経済の好循環につながらないことは、
アベノミクスで経験済みです。
出したお金は、中国やアメリカに吸い取られ、
企業の内部留保を増やすだけで、
「循環」しないのです。
設備投資が設備投資を生み、
雪だるまのように、出したお金の
何倍もの経済効果を生む、
などということはなくなっているのです。
すぐに、雪だるまの勢いは減衰し、
溶けてしまうのです。
日本が取るべき道は、
高い経済成長ではなく、
「堅実な低成長」です。
というか、これでいくしかないのです。
ない袖は、振れないのですから。(ない袖=労働力)
日本経済は低成長の時代(1)
2011年~2024年の経済成長率の平均です。
日本:0.63 アメリカ:2.40 ドイツ:1.13 イギリス:1.58
これを見てみなさんは、どう思うでしょうか?
多くの皆さんは、日本の成長率は、米独英と比べると
見劣りがすると思うのではないでしょうか。
「だから、高市首相の言う❝強い経済❞を目指して
頑張らないとね」
という人もいるかもしれません。
でもね、上のデータは、
アベノミクスをやってきた結果なんですよ。
財政出動で巨費を投入し、
政府の借金を雪だるまにした結果なんです。
黒田さんは、黒田さんで、通貨の流動量を
前代未聞に増やし、円安を誘導した結果なんです。
そして、安倍後継を自認する高市首相は、
また同じような過ちを犯そうとしています。
私は、上の数値の日本は、そこそこ頑張っていると思います。
少なくとも、マイナスではありません。
アメリカは、2.4%ですが、
日本はそれを目指すべきでしょうか?
経済成長神話に取りつかれていませんか?
経済第一主義、経済成長第一主義、GNP主義という
一種の宗教にマインドコントロールされていませんか?
日本:0.63 に対して アメリカ:2.40 です。
どちらの社会がよりよい社会でしょうか?
ニューヨーカーは、
ワーカホリック(workaholic 仕事中毒)と言われます。
よく働くんですね。勤勉なんですね。頭が下がります。
でも、それだけ働いても、物価が高く、
生活は楽ではないようです。
「はたらけどはたらけど猶わが生活(くらし)
楽にならざり ぢっと手を見る」(石川啄木)
その怒りが、有権者をして、
既存のエスタブリッシュメントである
前ニューヨーク州知事・クオモ氏に背を向けさせ、
若きインド系イスラム教徒・マムダニ氏を市長に当選させました。
ニューヨークは、活気にあふれた街のようですが、
ラストベルト地帯は、深刻なようです。
これが、トランプのような人物を2度も
大統領に選ぶ国にしたのです。
アメリカは、病んでいます。
毎年10万人が、
薬物の過剰摂取により死亡しています。
銃による死亡者数は、
4万8千人(2022年)
4万3千人(2023年) となっています。
不法移民の数は、
1100万人~1300万人とされています。
アメリカの下位50%の世帯は、
国全体の富の2%しかもたない、
上位1%が3分の1を保有、
と出ていました。
富の分配が極端に偏って、
富裕層だけが豊かになる社会です。
経済成長だけを追求する経済学だと
こうなります。
アメリカでは、病気になっても
病院に行かない人がいます。
医療費が払えないからです。
日本では、病気になったら、
病院で見てもらえます。
成長率 2.40% のアメリカと
0.63% の日本と どちらがいい社会でしょうか?
安倍政権も、高市政権も、
成長率2%以上を目指しているのは、
明らかです。
2%のインフレをターゲットにしているということは、
それ以下の成長率では割に合いません。
でも、2%以上など、それは不可能なのです。
20兆円を超える経済対策をしても、
2%以上の経済成長など、達成できるわけがないのです。
財政悪化で、国は貧困になり、
円安・インフレで国民生活が困窮するだけです。
弊害しかありません。
なぜ、2%以上の経済成長が不可能か?
これは、当たり前の話なんです。
お金をばらまいて、消費、設備投資を増やそうとしても、
だれが商品を生産するのですか?
だれが商品を運搬するのですか?
だれが商品を販売するのですか?
ということです。
日本の完全失業率は、
2022年 2.6%
2023年 2.6%
2024年 2.5%
で、低い水準で推移しています。
2025年8月の
有効求人倍率は、1.20倍 です。
これらの統計は、労働環境は、
よい状態にあることを示しています。
町に失業者があふれている
などという状況ではありません。
働きたいと言う人は、職を得ているという
状態です。
ということは、先ほどの
商品を生産・運搬・販売する人を
あらたに得ることは、むずかしいということです。
成長率 0.63%の日本は、
精いっぱい頑張っているのです。
これを、アメリカ並みに2%以上の成長率にするには、
労働力を増やさなければなりません。
商品に内在する価値の源泉は労働です。
(マルクス経済学における「労働価値説」)
日本の高度経済成長の時期、
団塊の世代も成長期でした。
バブル崩壊のころ、
この世代は、40台の働き盛りでした。
第二次安倍政権が発足したころ(2012年)、
団塊の世代は、定年退職を迎えました。
そして今、団塊の世代は後期高齢者となり、
日本は、人口減少傾向が止まらず、
労働力は、縮小傾向にあります。
かりに、人口減少に歯止めがかけられたとしても、
即戦力にはなりません。
今、労働力を得るには、
海外からの労働力に頼るしかありません。
でも、アメリカもヨーロッパも移民で
悩んでいます。
311子ども甲状腺がん裁判 「原告8」瞳さんの意見陳述全文
福島県南相馬市小高区にある
「おれたちの伝承館」では、
芸術家たちの美術作品が展示され、
各作品には作者のコメントが付されています。
その中に、とても印象的なものがありました。
それをここに転記します。
<以下、転載>
体と人生が傷ついた私たちは、
社会から透明にされたまま、
日々を生きています。
311子ども甲状腺がん裁判
第15回口頭弁論(2025年9月17日)
「原告8」瞳さんの意見陳述全文
震災が起きた時、私は小学6年生でした。
ランドセルを玄関に放り投げて学校に行き、
ブランコに乗っている時に大きな揺れがきました。
原発が爆発したことは、よく覚えていません。
ただ、将来自分ががんになって、
病院に行く想像をした一瞬は覚えています。
いつかがんになって死ぬかもしれない。
12歳で、そういうことを、
なんとなく受け入れていました。
原発事故後の世の中の急な変化で、
感情が麻痺し始めました。
目の前が薄く暗くなり、
沼の中を歩いているような苦痛な日々でした。
でも毎日学校があって、部活に行き、友達と家に帰る。
その繰り返しで、
ニュースで語られる「フクシマ」と、
自分の生活はかけ離れていました。
外国では、福島に住人は住めないと
言われているらしいけれど、
私の目の前には震災すら日常になった、
日々がありました。
高校2年生のときに甲状腺がんが見つかって、
手術することになりました。
どうしてがんになったのか、
先生に聞くと、
「この大きさになるには
10年以上かかるから、
原発事故の前にできたもの」と説明されました。
私は、「原発事故と関係ない」
というその言葉を素直に受け入れました。
医師は私を見て
「みんなあなたのようだったらいいのに」
と言いました。
その当時、「甲状腺がん」という言葉は
原発事故と直結していて、
この診断を聞いて、
普通でいられる人は
ほぼいないのだと感じました。
検査も手術も、異様に軽い雰囲気で進められて、
見つかってラッキーだったね。
せっかくだし取ってしまおう。
とってしまえば大丈夫。
そんなノリでした。
手術を終え、大学に進学すると、
私は激しい精神症状に
苦しめられるようになりました。
幻聴、幻覚、錯乱状態、発作。
身がちぎれそうな、激しい苦痛が9年続きました。
その時はなぜ、そのような症状が出るのか、
わかっていませんでした。
でも、大学卒業後に受信した精神科で、
震災のPTSDと言われました。
震災や原発事故があっても大丈夫だった。
がんになっても大丈夫だった。
そう感情を麻痺させてきたツケを払うように、
心も体も壊れていきました。
裁判のためにカルテを開示すると、
1回目の検査の時は、
がんどころか、結節もありませんでした。
わずか2年で、1センチのがんができたのです。
しかも、リンパ節転移や静脈侵襲がありました。
「事故前からあった」
という医師の発言は嘘でした。
この事実を知り、私の精神状態は悪化し、
提訴後、会社を辞めました。
私は9年前、手術の前日の夜、
暗い部屋で1人、
途方もない不安や恐怖を抱えていました。
その時、私の頭に浮かんだのは、
「武器になる」という言葉でした。
私は当時、
「甲状腺がんの子ども」を
反原発運動で利用する人に怒っていました。
私は、大人たちの都合のいい
「かわいそうな子供」にはならない。
なにがあっても幸せでいよう。
そう思いました。
不安と恐怖と混乱で、
溺れてしまいそうな中、
手繰り寄せて、掴んだものは、怒りです。
尊厳を侵された時、
怒りが湧くのだと知りました。
それをかすがいに、
甲状腺がんへの不安を乗り越えた高校生の時の私と共に、
今、私はここに立っています。
でも大人に利用されたくないと、強く願っていた私は、
気づくと、国や東電に都合のいい存在になっていました。
胃がねじきれそうなほど悔しいです。
私が受けてきたものは構造的暴力です。
命より、国や企業の都合を優先する中で、
私たちの存在はなかったことにされている
と気づきました。
私たちは論争の材料でも、
統計上の数字でもありません。
甲状腺がんで、体と人生が傷ついた私たちは、
社会から透明にされたまま、日々を生きています。
私にとって福島で育つということは、
国や社会は守ってくれないということを
肌で感じることでした。
十分すぎるほど諦め、失望しました。
でも、私は、抵抗しようと思います。
命と人権を守る立場に立った、
どうか独立した、
正当な判決をお願いします。
高市自・維連立政権の経済政策
高市自・維連立政権の経済政策に対して
市場が警告を発しています。
経済対策での国債増発、財政悪化を懸念して、
市場が反応しているのです。
11月19日の毎日新聞朝刊の
一面見出しに、
「国債・円・株 トリプル安」とありました。
記事を抜粋します。
18日、長期金利の指標となる
新発10年物国債の利回りが
一時1.755%まで上昇
(債権価格は下落)した。
2008年6月以来
約17年半ぶりの高水準。
高市政権で日本の財政が悪化する
との懸念が強まり、
国債の売り注文が膨らんだ。
高市政権が検討している
経済対策の歳出規模が
前年度を大幅に上回るとの見方が強まり、
前日に続き国債が売られた。
財政悪化懸念は
外為市場で円売りを誘った。
対ドルの円相場は
一時1ドル=155円台前半まで下落した。
円は対ユーロでも下落し、
1999年の通貨導入以来初めて
1ユーロ=180円台に突入した。
以上1面の記事から抜粋しました。
経済面の関連記事を抜粋します。
満期までの期間が長い
30年物国債に至っては過去最高水準だ。
高市政権が検討する経済対策の
歳出規模が前年度(13.9兆円)を
大幅に上回る見通しが先週末に明らかとなり、
赤字国債の増発で
財政が悪化するとの懸念が再燃した。
財政拡張と金融緩和を好む
「リフレ派」の高市氏は、
赤字国債の発行もいとわず
大規模な財政出動を主張。
基礎的財政収支(プライマリーバランス)の
単年度黒字化目標を取り下げたり、
経済財政諮問会議の民間議員に
リフレ派の人物を起用するなど、
「財政規律軽視」の色合いが強まっている。
国・地方を合わせた長期債務残高は
計1330兆円(25年度末時点見通し)と、
先進国で断トツに膨らんでいる。
そこに野放図な財政出動が加われば、
財政への信頼が揺らぎかねない。
投資家が、
「財政悪化などで借金返済能力が低くなっている」
と判断すれば、高金利でなければ(国債を)買ってくれなくなる。
高市政権発足後は、この見方が広がり、
利回りが上昇した。
国債利回りの急騰は、国民生活を直撃する。
新規国債の発行が難しくなり
借金ができなくなれば、
社会保障など政府サービスがストップしてしまう
恐れがあるからだ。
抜粋以上。
国の予算の内、4分の1は、
過去の借金の利息支払いや返済に充てられ、
使えるお金は4分の3というのが、現状です。
国債の利回りが上がれば、
過去の借金のための利息を支払う負担がさらに増え、
財政を圧迫することになります。
また、円安は、輸入価格のさらなる高騰を招き、
物価を上昇させ、国民生活を窮乏させます。
「積極財政」を唱える、高市自・維連立政権には、
できりだけ早くやめていただくのが、
日本のためです。
また、別の記事で首相と植田日銀総裁の会談が報じられ、
2%のインフレターゲットが記述されていましたが、
この政策は、世界的に流行っているようですが、
とてもまともな経済理論とは思えません。
福島に行ってきました~震災・原発事故~(2)
帰還困難区域の指定が解除され、
帰ってはみたものの、
セイタカアワダチソウと、
太陽光パネルが空き地を占めている。
一部の除染した土地に、
大型の施設ができている。
そういう故郷は、
もはやかつてのふるさとではありません。
でも、景色の変容以上に、
人々の心を傷つけたのは、
原発事故がもたらした
住民の分断かもしれません。
原発の立地自治体と周辺の自治体
帰還可能になった町と、
依然として、大部分が帰還困難な町
町に帰ってくる人と
避難先にとどまる人
さまざまな分断があります。
今回の福島行きにあたっては、
町内に浪江町から避難して来られた方に
どこに行ったらいいかなど、アドバイスをいただきました。
それで、旅行後、報告を兼ねてお宅を訪問しましたが、
そこでも色々お話を伺いました。
なかには信じられないような話もありました。
事故後の補助金でも、原発の立地自治体と
周辺自治体では、相当な差があったようです。
仮設住宅の壁の厚さが違う、
避難所の体育館に置かれたストーブの数が違う、
ということもあったようです。
放射能から逃れて、福島の住民が
関東など他の地域に避難しましたが、
そこでいやがらせに合っています。
石を投げられたり、
車に傷をつけられたりした人もいたようです。
いわきナンバーの車の人が、
わざわざ「仕事で一時的に来ています」と
張り紙をしていたそうです。
新型コロナの初期のころ、
感染した人が非難され、そこに住めなくなって
引っ越ししたという話を聞いたことがあります。
それと似ていると思いました。
正確な知識がなく、
放射能が感染すると思ったようです。
放射能は、放射性物質が発するものです。
伝染病ではありません。
福島第一原発は、当初、
浪江町と双葉町にまたがって
造られる予定だったそうです。
ところが、浪江町でただ一人
がんとして反対する地主がいて、
結局、双葉町・大熊町に造ることになったそうです。
それで、この反対した地主は、
「やっぱりあんたが正しかった」と言われたのかと
思ったら、そうではないのです。
「お前が反対しなければよかった」
と言われているのです。
理不尽なことです。
事故後の、国からの補償金が、立地地域と
周辺地域では全然違ったからです。
反対してなくて、原発が浪江町に
建てられていたら、多額の補償金が貰えたのに
ということの様です。
環境大臣だった石原伸晃が、
「最後は、金目の問題でしょ」
と言って、ひんしゅくを買っていましたが、
まさにその世界になっています。
現地で、医療の権威者が、
「放射能はニコニコしている人のところには来ません」
と言っていたそうです。
人々を安心させるため? のようですが、
この人は、原発推進派で、事故が原発廃止の
動きになることを避けたかったのだと思います。
医療従事者が、
原発事故と甲状腺がんの関係を否定する
ようなことも言っていました。
その病院は、国・県などから公的資金の補助を
たくさんもらっていたようです。
だから、国の方針に不利になるようなことは言わないのです。
国際放射線防護委員会2007年勧告により、
平常時に一般の人が受けてよい線量は、
年間1ミリシーベルト(=1000マイクロシーベルト)となっています。
ただし、上記は平常時の話で、
緊急時は20~100ミリシーベルト、
緊急事故後の復旧時は、1~20ミリシーベルト、
です。
そして、今、福島では、この20ミリシーベルトが
年間の被ばく基準になっています。
原発事故が起きた時に
「原子力緊急事態宣言」が発令されました。
14年たった現在も、発令は解除されず、
今も、「緊急事態宣言」下にあります。
「緊急事態」でなくなると、
平時の1ミリシーベルト基準に
もどさないといけなくなるから、
「緊急事態」にしておかないといけないのです。
ですから、日本はずっと、
「原子力緊急事態宣言」発令中で、
平時には、戻れないのです。
原発事故は終わっていません。
まだ、継続中なのです。
そして、
上記の20ミリシーベルト基準についての
国・自治体などの説明は、正確ではなく、
かなり意図的に誘導しているのではないかと
疑われました。
「なぜ20ミリシーベルトなのですか」
という住民の質問に対して、今でも、
「国際的勧告の範囲内の
もっとも厳しい値である
年間20ミリシーベルトを採用しました」
と説明しているようですが、
勧告は、上述したように
「緊急時は20~100ミリシーベルト、
緊急事故後の復旧時は、1~20ミリシーベルト」
となっています。
今は、もはや事故直後の「緊急時」ではありません。
「緊急事故後の復旧時」にあたります。
ですから、勧告されている基準は、
「1~20ミリシーベルト」です。
現在採用している「20ミリシーベルト」は、
「もっとも厳しい値」ではなく、
「もっともゆるい値」を採用しているに過ぎません。
景色は、元の風景には戻らず、
人々は分断され、
嘘やごまかしの言葉は
人々を傷つけています。
そして、その怒りがおさまらないのは、
国が国策の誤りを認めず、
謝らないからだと思います。
それが、人々に
国や東電を相手取っての
裁判を起こさせているのです。