問 しかし日本だけがやめても
仕様がないのではありませんか。
答 そうだ。
世界中がやめなければ,
ほんとうの平和は実現できない。
しかし実際問題として
世界中が武器を持たないという
真空状態を考えることはできない。
それについては僕の考えを少し話さなければならないが、
僕は世界は結局一つにならなければならないと思う。
つまり世界政府だ。
世界政府と言っても、
凡ての国がその主権を捨てて
一つの政府の傘下に集るようなことは空想だろう。
だが何らかの形に於ける
世界の連合方式というものが
絶対に必要になる。
何故なら、
世界政府とまでは行かなくとも、
少くも各国の交戦権を制限し得る
集中した武力がなければ
世界の平和は保たれないからである。
凡そ人間と人間、国家と国家の間の紛争は
最後は腕づくで解決する外はないのだから、
どうしても武力は必要である。
しかしその武力は
一個に統一されなければならない。
二個以上の武力が存在し、
その間に争いが発生する場合、
一応は平和的交渉が行われるが、
交渉の背後に武力が控えている以上、
結局は武力が行使されるか、
少なくとも武力が威嚇手段として行使される。
したがって勝利を得んがためには、
武力を強化しなければならなくなり、
かくて二個以上の武力間には
無限の軍拡競争が展開され
遂に武力衝突を引き起こす。
すなわち戦争をなくするための基本的条件は
武力の統一であって、
例えば或る協定の下で軍縮が達成され、
その協定を有効ならしむるために必要な国々が
進んで且つ誠意をもってそれに参加している状態、
この条件の下で
各国の軍備が国内治安を保つに必要な警察力の程度にまで縮小され、
国際的に管理された武力が存在し、
それに反対して結束するかもしれない
如何なる武力の組み合せよりも強力である、
というような世界である。
そういう世界は歴史上存在している。
ローマ帝国などもそうであったが、
何より記録的な世界政府を作った者は日本である。
徳川家康が開いた三百年の単一政府がそれである。
この例は平和を維持する唯一の手段が
武力の統一であることを示している。
要するに世界平和を可能にする姿は、
何らかの国際的機関が
やがて世界同盟とでも言うべきものに発展し、
その同盟が
国際的に統一された武力を所有して
世界警察としての行為を行う外はない。
このことは理論的には
昔から分かっていたことであるが、
今まではやれなかった。
しかし原子爆弾というものが出現した以上、
いよいよこの理論を現実に移す秋がきた
と僕は信じた訳だ。