長沼ナイキ基地訴訟(1)

何か月か前に、新聞に小さな死亡記事が出ていました。

福島重雄さん。
「長沼ナイキ基地訴訟」一審(札幌地方裁判所)を
裁判長として、担当した方です。

1973年に一審判決で、
自衛隊違憲判決を出しました。
史上唯一の自衛隊違憲判決です。

ほかに違憲判決を出した裁判官はいないということです。

ということは、
福島重雄さんは、日本でただ一人の
真の裁判官だったと私は思っています。

長沼ナイキ基地訴訟は、航空自衛隊の基地建設のため
農林大臣が保安林の指定を解除した処分について、
住民がその取り消しを求めた行政訴訟でした。

福島さんは、その一審判決で、
自衛隊憲法9条2項の「戦力」にあたり
違憲と判示しました。

福島さんは、それ以降、東京地方裁判所手形部、
福島家庭裁判所福井家庭裁判所と異動していますが、
裁判長を務めることはありませんでした。

要するに、裁判官としては、
冷や飯を食わせられたのです。

日本の司法当局は、そういう根性なのです。
根から腐っているのです。
法の精神を持ち合わせていない、官僚集団なのです。

私は、中学3年の時から、60年間、一貫して自衛隊違憲論です。
そこから、憲法9条第二項を削除する憲法改正を提案しています。

私の憲法9条の解釈論は、別の機会にするとして、
ここでは、「長沼ナイキ基地訴訟」が露呈させた
「日本の司法がやばい」を論じたいと思います。

自らの良心と法にもとづいて、独立して判決を出した、
福島重雄さんに対するその後の処遇は、

「政府の方針に逆らうやつは、どうなるか見ておけ」
という、司法を取り巻くムードを決定づけています。

これは、違憲立法審査権をあまり行使しない、
司法を生み出し、裁判所の地位低下のみならず、
日本の民主主義の危機をもたらしています。

もはや、三権分立ではなくなっているのです。