台湾有事の高市発言で、日中間が揺れていますが、
どうも、日中国交正常化交渉の原点が、
忘れられているように思います。
反高市にせよ、反中国にせよ、
原点を知らないで、
白黒をはっきりつけようとしている気がします。
白黒をはっきりつけない、
と言うのが
「日中共同声明」の原点です。
それによって、
周恩来と田中角栄は、合意し
国交正常化をすることができたのです。
白黒をはっきりつける
という考え方もあると思いますが、
それは、「日中共同声明」時の
スタンスとは異なります。
「日中共同声明」をやめて、
中国と国交断絶することは不可能です。
中国には多くの日本企業も進出しています。
10万人弱の日本人が中国に在留しています。
中国は日本の最大の貿易相手国です。
輸出入総額(2023年)
1位 中国 20%
2位 アメリカ 15%
食料品、原材料、工業製品の多くを
中国に依存しているのが現状です。
また、近年中国の軍事的な拡張、
海外進出が脅威を与えています。
これに対して、単に
軍事一辺倒で対抗するのでは、
緊張に油をそそぐだけです。
堅実な外交が必要で、
そのためには、
「日中共同声明」の基本を再確認しておきましょう。
11月25日の
毎日新聞朝刊の解説記事を抜粋して転載します。
<以下転載>
台湾問題は72年の
日中国交正常化交渉で
大きな争点になった。
交渉の末、
当時の田中角栄首相と中国の周恩来首相が
北京で日中共同声明に調印。
同声明は50年以上にわたって
両国関係の基礎となる文書の一つ
として重視されている。
その第3項には
こんな文章が盛り込まれた。
「中華人民共和国政府は、台湾が
中華人民共和国の領土の不可分の一部
であることを重ねて表明する。
日本国政府は、
この中華人民共和国政府の立場を
十分理解し、尊重し、
ポツダム宣言第八項
に基づく立場を堅持する」
当時、外務省条約課長として
田中首相らに随行していた
栗山尚一氏の回想によると、
台湾が自国に帰属するとの
主張を承認するよう求めていた
中国側に対し、
日本側は意味の弱い
「理解し、尊重」を提案。
渋る中国側に対して、
さらにポツダム宣言に関する部分を
加えることで決着した。
ポツダム宣言は
第二次世界大戦を戦った中国(当時は中華民国)
の蒋介石が米英首脳らと
日本の降伏条件を決めたもので、
その第8項は台湾が中華民国に
返還される方針を確認した。
<転載、以上>
ポツダム宣言第8項は、
「カイロ宣言の条項は、
履行せらるべく、
又日本国の主権は、
本州、北海道、九州及四国並に
吾等の決定する諸小島に局限せらるべし。」
と記載されているだけで、
「台湾が中華民国に返還される」
との記載はありませんでした。
ただ、第8項で言及されている
カイロ宣言には、
「満洲、台湾及び澎湖島のような
日本国が清国人から盗取したすべての地域を
中華民国に返還すること」
とありましたので、間接的に、
「台湾が中華民国に返還される」
と言ったことになります。
「日中共同声明」では、
台湾が中国の一部であるとの
中国の立場を、日本は
「十分理解し、尊重し」ますと言っています。
が、同時に、ポツダム宣言第8項に言及することで、
間接的に、「台湾が中華民国に帰属する」
との立場も堅持したのです。
要するに、両論併記で、
白黒をはっきりさせないことで
台湾問題に対処しているのです。
以上に見てきたことから、
「日本は、日中共同宣言で
ひとつの中国を認めたのだから、
中国が、台湾に武力侵攻しても
それは、中国の内政問題だ」
という言い方は、正しくありません。
日本政府は、台湾を中国の内政問題だ
とまでは、認めておりません。
また、「一つの中国」という中国の立場を、
日本政府は、「十分理解し、尊重」する
と言っているのですから、
中国が台湾を統合することに、
明白に反対するという立場も取れないわけです。
まして、
日本が、軍事的に介入するなど、
口が裂けても言えません。
日中共同声明の第二項は、
「日本国政府は、中華人民共和国政府が
中国の唯一の合法政府であることを承認する。」
となっています。
これにより、日本は台湾と断交し、
国レベルの交流はしていません。
これは、米国も同様です。
だから現職の国家機関の長が台湾を訪問する
ということはありません。
以前、民主党のペロシ下院議長が
台湾を訪問した際には、
中国は猛反発し、台湾周辺で軍事演習をしました。
これは、現職の下院議長だから、
まずかったのだと思います。
台湾の前主席・李登輝が来日した際にも、
中国は反発していましたが、
これはその程度で済んでいます。
現職と元職の違いです。