今回の選挙結果を受けて、
得票率に応じて議席を配分する比例代表制の選挙制度
に改めることが一部の政党から要望されています。
比例代表制は、民意を反映するという点では
優れていますが下記の問題点もあります。
①多党化の時代、中小政党が多数存立し、
連立協議が難航し、政治空白が長引く可能性がある。
実際に欧州で何か月も組閣できないということがありました。
②政党ではなく、人を選んで投票したいという
有権者の希望もある。
③無所属の立候補が出来ない。
②の「人を選んで投票したい」という要望を入れると、
「小選挙区比例代表併用制」にするという方法も
あります。
ドイツに見られる選挙制度です。
有権者は、小選挙区に1票、比例代表に1票の
計2票を投じます。
そして議席の配分は、比例代表の得票に基づいて
割り振られます。
ただし、小選挙区の当選者には、
優先的に議席を与えるため、
A党が本来比例で10議席だとしても、
小選挙区で13名が勝者となった場合には、
13名に議席を与えていました。
3名分が、「超過議席」です。このため、
比例票に基づく議席数とずれが生じます。
その場合、「調整議席」として各政党に議席を加配し、
全体の議席割合は比例代表の割合になるように
調整していました。
このため、2021年の総選挙では、
定数598に対して、当選者は736人と
定数を138議席も上回りました。
2025年の総選挙では、「超過議席」を廃止したところ、
小選挙区で勝利しているのに、議席がもらえない
という事態を起こり、不満が出ています。
こういう事情があるので、
私は、一時「小選挙区比例代表併用制」がいいのではないかと
思いましたが、現在は考えを改めました。
そこで、現在の私の案は、現行通り
「小選挙区比例代表並立制」です。
ただし、小選挙区・比例区の定員配分を、
(現行)小選挙区:289、比例区:176
(変更)小選挙区:92、比例区:373
にします。
この比率だと、自民が小選挙区をすべて独占する
として計算すると、獲得議席数は、
小選挙区:92 比例区:137 合計:229 となります。
定数465の内、49.2%の議席を占めることになり、
前回選挙の、小選挙区における自民の得票率
とほぼ同じです。
完全に比例代表だけで議席を決すると
核になる政党が生まれづらく、組閣・政権運営が
困難になるところを、
小選挙区制によって、
少しだけ塊(かたまり)を作りやすくする
という案です。
小選挙区制のいいところは、
一人を選ぶということです。
結局、内閣総理大臣は一人です。
いずれか1党の党首がなります。
複数党の党首が共同代表で首相を務める
などということはあり得ません。
上記案の小選挙区制の定員92名が
首班指名の趨勢に影響を与えます。
したがって、小選挙区1名を選ぶ選挙は
真に民意を得た多数派が選ばれるようにすべきです。
現行の比較多数を当選とする方式では
真の多数派ではなく、
少数派が当選してしまうこともあるので、
私は、「優先順位付連記投票制」
をおすすめします。
上位2者による決選投票方式でも、
一応過半数を得る人が当選するので、
現行方式よりはましですが、
選挙を2回やらなければいけないのと、
上位1位、2位が本当に民意を代表し得ているか
というと必ずしもそうとは言えません。
イギリスの保守党の党首選挙のやり方は、
非常に民主的でした。
5名くらいの立候補者がいましたが、
1回目の投票の結果で、最下位の候補者を落選者として、
残り4名で2回目の投票を行い、
ここでも過半数を獲得する候補者がいない場合は、
さらに最下位の候補者を落選者として
残り3名で3回目の投票を行うということを、
過半数を獲得する候補者が出るまで
繰り返していくというものです。
これを1回の投票で済ませるのが、
「優先順位付連記投票制」です。
この方式だと、極端な候補ではなく、
多数の人に受け入れられやすい穏健な候補者が
通りやすくなります。
「優先順位付連記投票制」では、
投票用紙には、すべての候補者名があらかじめ印刷されていて、
有権者はこれに好みの順位付けをします。
開票においては、
1回目の集計では、
優先順位1位が付けられた候補者を集計します。
ここで、有効投票の過半数を得た候補者がいれば、
その候補者を当選者とします。
過半数を得た候補者がいない場合は、
もっとも得票数の少なかった候補者を落選として、
その候補者を1位に指名していた投票用紙からは
2位の候補者を採用して2回目の集計をします。
ここで、有効投票の過半数を得た候補者が出れば、
その候補者を当選者としますが、
いない場合は、もっとも得票数の少なかった候補者を落選として、
その候補者を指名していた投票用紙からは
その次の順位の候補者を採用して再度集計するということを
過半数を得る当選者が出るまで繰り返すというものです。
この方式では、当選者は過半数を得ており、
死票が当選者の得票数を上回る
というような不都合は起こりません。
多党化の時代、「支持政党なし」が
世論調査で最大グループになっている今、
一人一票で、一人(一党)にしか投票できないのでは、
有権者の意志を十分に汲み取ることはできません。
「優先順位付連記投票制」では、
有権者は1党ではなく、複数の党に投票できるわけで、
より民意を反映できる制度といえます。
「優先順位付連記投票制」は、
オーストラリアの連邦議会の選挙で採用されているほか、
アメリカでも予備選挙などで採用している地域があります。