経済学者が経済をダメにする(小泉構造改革)

小泉純一郎政権(2001年~2006年)の時には、
経済ブレーンとして、慶応大学の竹中平蔵がいました。

小泉構造改革では、日本において初めて本格的に
新自由主義的な経済政策がとられました。

「市場原理主義」に基づき、民営化を推進し、
「小さな政府」を目指しました。

製造業への派遣労働の解禁など、労働規制が緩和されました。
これを起点に、非正規雇用労働者の割合が拡大し
今日に至っています。

非正規雇用者は、2,126万人で、
雇用者全体の約4割にまでなっています。

結果として、欧米に比べ労働分配率が低いことと相俟って、
勤労者全体の所得を押し下げ、
日本経済の足腰を弱くしています。

東証一部上場企業が、史上最高の利益を上げていても、
労働者の賃金を上げるほうには回らずに、
企業の内部留保が増え続けるという傾向がありました。

労働分配率が低いというのは、
欧米に比べ、労働組合が弱いというのが原因だと思います。

イギリスは、職業別労働組合。アメリカは、産業別労働組合。
と言われていますが、日本は企業別労働組合です。
こういう歴史的経緯もあり、日本では労働組合が弱いのだと思います。

1989年~1991年のソ連・東欧圏の崩壊は、
日本の政界では、左翼勢力の没落をもたらしましたが、
労働界もより穏健化の方向に再編され、あまり戦闘的ではなくなりました。

また、非正規雇用者の割合増は、経済的な理由から、
結婚しない、結婚しても子供を産まないという人を増やし、
少子化の一因にもなっています。

新自由主義的な経済思潮は、小泉以後も強く残っています。
これは、冷戦以後(ソ連・東欧圏の崩壊以後)の世界的な潮流で、
貧富の格差を拡大させ、❝病める社会❞、❝分断した社会❞をもたらしました。

冷戦の終了は、東側の人々にとっては、
共産主義・共産党の専制から解放されて、自由を得たと言えますが、

西側では、「資本主義が冷戦に勝った」と言う風に
歴史のメッセージを曲解し、新自由主義的な経済思潮がはびこり
資本主義を逆に劣化させたと思います。

冷戦は、資本主義が勝ったのではなく、
共産主義が、自壊したのです。

共産主義(狭い意味での社会主義)が間違いであった、
というのが歴史のメッセージです。
資本主義の矛盾は、なんら解決されていません。

冷戦期の方が、資本主義側は真面目に取り組んでいました。
かつては、自民党の総理大臣でも、施政方針演説で、
「福祉社会」に言及する人もいました。

1977年・福田赳夫。
「真の福祉社会は、福祉の心に裏打ちされてこそ初めて成り立つ」

しかし、その後、「活力ある社会」
という言い方が強調されるようになります。

これは、暗に「福祉国家」は、
活力のない社会だと言っているようでした。

今日の、高市首相の「強い経済」もこの系譜です。

でも、幸福度の指標で上位にある国は、
いずれもみな北欧の高福祉・高負担の国です。

そういう国では、高い税金を払っても、
政府が自分たちのために使ってくれるという、
政府に対する信頼感があります。

日本の場合、利権政治のイメージが強く、
自民党に献金する大企業、圧力団体のために

ひたすら資金が投入されていると見られ、
政府への信頼感が薄いのではないでしょうか。

一方、「小さな政府」を目指す共和党が強いアメリカでは、
国民皆保険など、「あんなのは社会主義だ」と言っていますが、
平均寿命が低下しているのです。

フランスの人口統計学者、エマニュエル・トッドが
1976にソ連の崩壊を予言した時には、
乳児死亡率などの人口統計データを基にしたそうです。

これを考えると、アメリカにおける平均寿命の低下は、
アメリカの崩壊を予言しているのかも知れません。

そして今、私たちは、「トランプ現象」に
それを見ているとも言えます。

でも、アメリカには、レジリエンス(resilience;回復力)があると言うので、
それに期待したいと思います。
「トランプ現象」など、今だけの一時的な現象だと。