極右勢力の伸長について(2)

自由な市場経済は、経済を発展させます。
しかし、それは全体的な効果です。

GDPが増えればいい、
経済成長率を上げることが経済学の目的だ
と考えている人はそれでいいかもしれません。

全体が経済成長することは、
必ずしも個々の部分が繁栄することではありません。

例として、国内の経済を見て下さい。
例えば、日本国内では、ヒト・モノ・カネの移動は完全に自由です。
完全な自由経済圏です。

そこでは、高度な経済成長がもたらされました。
(最近は、「失われた30年」ということが言われていますが)

でも、数十年間、
首都圏への一極集中の問題が指摘されてきましたが、
まったく、解決されていません。

ほとんどの大企業が本社をもつ東京都は、
豊かな財政を享受し、
高校の授業料支援、夏季の水道基本料無償化などを打ち出しています。

財政難に苦しむ地方自治体にとっては、うらやましいかぎりです。

首都圏の繁栄に対比して、
地方都市の駅前商店街では、シャッター通り化が見られます。
過疎地では、「限界集落」ということまで言われています。

「人口戦略会議」は、令和6年、
2050年までに744自治体の消滅可能性がある
とのレポートを出しています。

これと同様に、欧州でEUが単一の経済圏を造り上げても、
それを構成するすべての地域が繁栄することにはなりません。

旧東ドイツの若者は、より豊かな生活を求めて、
旧西ドイツへと移住します。
旧東ドイツでは若年労働力が減少することになります。

ポーランドからも、イギリスへ出稼ぎに行っています。
EUが域内の労働力人口の移動を完全に自由化しているので、
より産業の乏しい国から、より産業が発展している国へと人が移動します。

新自由主義的な経済政策は、富める国はさらに富み、
貧しい国はさらに貧しくと、
地域間格差を拡大します。

こうした、EU域内での人口移動に加えて、
域外からも移民が流入します。

内戦を逃れて安全な国へ、
少数民族、宗教、性的指向性などで迫害される人は人権が保障されるEUへ、
そして、最近は「気候難民」という言葉も出てきました。

これらの人々は、生きるために、
EUへと流入して来ます。

EUを主導した人々は、経済的な自由主義だけでなく、
政治的にも自由主義(リベラル)です。

人権尊重の立場から、また、人道的にも、
移民(難民)に対して寛容な政策が取られました。

しかし、過度の移民・難民の流入は、
旧来の社会秩序を脅かす存在になっています。

労働者階級にとっては、
より低賃金で、自分たちの職を奪う脅威でもあります。

人々の不満は、
移民に対して、より厳格な政策をとる、
極右勢力への支持をもたらしています。

欧州における、極右勢力の伸長は、

過度な経済的自由主義新自由主義)と、
移民に対して寛容な政治的自由主義リベラリズム)という、

二つの自由主義にたいする反動だと言えます。