日本経済は低成長の時代(2)

人口減少に歯止めがかからない日本で、
高い経済成長率を達成するには、

海外から労働力を供給するしかありません。

でも、アメリカもヨーロッパも移民で
悩んでいます。

EUのような、自由経済圏を造って、
人・物・金の移動を自由にし、
国境の制限・規制を撤廃すると、

経済成長はもたらされますが、
さまざまな社会問題が起こっています。

経済成長と言っても、
自由経済圏全体としての成長です。

個々の構成員(国)の成長を保証するものではありません。

富める国はさらに富んで、格差は拡大します。
貧しい国から、人々は富める国へと移動します。

経済的自由主義は、必ずしも民主主義とはなりません。

過度な移民の増加は、
極右勢力の伸長をもたらしています。

EUの内部では、東側(旧共産圏)から
西側へと移民が動きます。

そして、移民が流入した国(イギリスやフランス
など)においても、

移民を排出した国(東側旧共産圏)においても
極右勢力が伸長しています。

ドイツの旧東独地域は、旧西独への移民排出国であると同時に、
EU域外からの移民の流入国です。

「ドイツのための選択肢」は、
この地域での伸長が目立っているようです。

社会が寛容さを失い、
多様な価値観の共存する、
包容力のある社会ではなくなっています。

分断され、自分たちとは異なる者を
攻撃、排除します。

自由・平等・博愛をスローガンに
フランス大革命を起こした
フランスでさえ、

イスラム教徒の女性が身につける
スカーフ(ヒジャブ)を

公共の場で身に着けることを禁じる
都市がいくつも出てきています。

信教の自由という原則が崩れてきています。

移民が少数の間は、許容できていても、
あまりに大きくなると、
脅威を感じるのです。

自分たちの文化が壊されると。

もともと、アメリカにしろ、ヨーロッパにしろ、
白人、キリスト教徒の国です。

彼らの言っていた自由・平等は、
非白人、異教徒には
及んでいなかったのでしょう。

さらには、自分たちの生活が苦しいのは
移民のせいだとまで言う言説が出ています。

ここまで言うと、
言いがかりのような気がします。

貧しいのは、移民のせいではなく、
新自由主義が格差を拡大させている
という面があると思います。

とにかく、移民の増加が、
アメリカ、ヨーロッパを悩ましています。

さて、日本に、
移民を増やして、経済成長を達成する
という覚悟はあるのでしょうか?

日本にいる在留外国人は、
2024年末時点で、過去最高の
377万人だそうです。

年々増えていますが、
総人口に占める割合は、
3%に留まっています。

この程度でも、外国人を排除し、
受け入れない言説が横行し、

「日本人ファースト」の参政党が
参議院選挙で躍進しました。

先の自民党総裁選挙でも
5人の候補者全員が、
「移民政策は取らない」ということでした。

欧米の例や、国内世論の状況から、
移民を増やして、経済成長を達成する
などというシナリオは描けません。

ただし、今の現実は直視しなければいけません。

製造業(大企業、中小企業を問わず)、農業は、
すでに外国人労働者なしでは、回りません。

つまり、今並みの経済成長率を維持するのにも、
外国人労働者を受け入れ続ける必要があるのです。

先述した、自民総裁選での
候補者5人による、
「移民政策は取らない」という発言は、

必要な労働力は受け入れるが、
移民としては受け入れない
という言い方です。

これは、
「出稼ぎはいいけど、定住はだめよ」
と言っていることになります。

これも非現実的です。

人間が、在留して、働き、生活していれば、
結婚したり、定住したりすることは
当然あることです。

「移民政策は取らない」ではなく、
「抑制された移民政策を取る」というのが
正しい表現です。

総裁候補者5人が、
「移民政策は取らない」と言っていたのは、

国民が安心するように、
或いは、有権者のご機嫌を取ろうと、
ごまかしているか、

自分たちが、現状が見えてなくて、
単にこうありたいと
願望を言っているに過ぎないか、

のどちらかです。

現状並みの、低成長を維持し、
そのために、「抑制された移民政策を取る」

というのが、
今の日本が取るべき
経済の基本政策でなければなりません。

高市自・維連立政権のいう「経済成長」は、
単に見果てぬ夢を見ているだけです。

また、「連立政権合意書」の
「外国人政策」には、「きびしく対応する」
ことしか書かれていません。

受け入れをスムーズにするための
施策(例えば日本語教育)などはありません。

現状の成長率を維持するためには、
そういう施策も必要なはずです。

日本で、豊かさが感じられないのは
低成長だから、
ではありません。

成長率2%以上のアメリカでも、
多くの人が生活苦を感じています。

成長率の問題ではなく、
分配の問題です。

日本は、身分不相応な経済成長を目指して、
大型の財政出動をするべきではありません。

これは、骨折り損のくたびれ儲け、
という結果になります。

いたずらに国の借金は増え、
国民は、ますます困窮するだけです。

いくら財政出動をしても、
経済の好循環につながらないことは、
アベノミクスで経験済みです。

出したお金は、中国やアメリカに吸い取られ、
企業の内部留保を増やすだけで、
「循環」しないのです。

設備投資が設備投資を生み、
雪だるまのように、出したお金の
何倍もの経済効果を生む、

などということはなくなっているのです。

すぐに、雪だるまの勢いは減衰し、
溶けてしまうのです。

日本が取るべき道は、
高い経済成長ではなく、
「堅実な低成長」です。

というか、これでいくしかないのです。
ない袖は、振れないのですから。(ない袖=労働力)